独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈ホテル・ネグレスコ〉のエントランス。ニキ・ド・サンファルが出迎えてくれます。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

サイケデリックなカーペットが敷かれた廊下も楽しい。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

ナポレオンをテーマにしたジュニア・スイート。壁紙やカーテン、ベッドカバーに蜂の模様があしらわれています。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

エリザベート・ヴィジェ=ルブランの自画像。彼女はマリー・アントワネットの肖像画家として知られています。自画像は美化されているかもしれませんが、美貌の画家として彼女のプロモーションになったはず。

南仏ニースの海岸沿いにあるホテル・ネグレスコはアートなホテル。13世紀から現代までのフランスの絵画や彫刻をコレクションしており、ロビーや客室など至る所に作品が飾られています。中にはエリザベート・ヴィジェ=ルブランの自画像なども。125ある客室はすべて違うインテリアで装飾されています。中でもナポレオンをテーマにしたジュニア・スイートでは、彼が好んだ白鳥や蜂のモチーフを随所に見ることができます。アートな一晩を過ごせるホテルです。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈ニース現代美術館〉外観。レンズのような形のファサードが印象的です。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈ニース現代美術館〉館内の壁や螺旋階段の裏にグラフィックが施されています。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈ニース現代美術館〉イヴ・クラインの展示室。監視のお兄さんもスタイリッシュです。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈ニース現代美術館〉の展示室。クリストらの作品が並んでいます。

ニースには「芸術のエスプラナード」と呼ばれるエリアがあり、劇場や図書館が集まるカルチャーゾーンとなっています。その中にあるのが〈ニース現代美術館〉。六角形になった建物がユニークな美術館です。ここではニース生まれのイヴ・クラインや、ニューヨークとニースを拠点としていたアルマンらニースにゆかりのあるアーティストの作品を中心に展示しています。地中海に面した南仏ニースはヨーロッパの他の地域にはない独特の光で多くのアーティストを惹きつけました。ピカソ、マティス、ボナール、コクトー、ルノワールらがニースを訪れ、あるいは滞在しています。そこではフルクサスやシュポール・シュルファスといったグループやムーブメントの作家たちが活動し、ニューヨークやパリのアート・シーンも刺激していました。この美術館ではそういった動きを作品から読み取ることができます。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈シャガール美術館〉展示室。大きな窓から庭が見えます。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈シャガール美術館〉外観。庭にはローズマリーやオリーブが植えられています。

ニース郊外に、マルク・シャガールの個人美術館があります。開館したのは1973年7月7日。その日はシャガールの86歳の誕生日でした。本人の生前にできた唯一の国立個人美術館です。建物の一部はシャガールのモザイク画で飾られています。館内のどの場所にどの絵を設置するかも彼自身が決めました。建物は随所に大きな窓が開けられて、内外をつないでいます。建物や庭はあえてシックな色合いにして、中に入るとシャガールのビビッドな色遣いを楽しめるようにしています。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。
独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈ホテル・ネグレスコ〉近くにある〈マセナ博物館〉はナポレオン軍で功績のあったマセナ司令官の孫が建てた邸宅を、ナポレオン時代を中心にした歴史博物館にしたもの。当時の服や肖像画、装飾品などが展示されています。ここで面白かったのが特別展示されていた、ブレアという画家の磔刑図です。ブレアは1475年から1516年までニースで40以上も祭壇画を描いた画家。この磔刑図はシミーズ修道院にありましたが近年、修復されたのを記念して2019年4月から3年間、このマセナ博物館で展示されています。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈マセナ博物館〉、ブレアの磔刑図のプレデッラ(祭壇画の下部)部分。左、ユダに接吻されるイエスは口を「へ」の字に曲げ、目を伏せています。右、柱に縛りつけられ、鞭打たれる場面では横目で鞭を持つ人をにらんでいるよう。

独特の光で多くの芸術家を魅了した、南仏ニースでアート巡り。

〈マセナ博物館〉、ブレアの磔刑図のプレデッラ部分。左、茨の冠をかぶせられたイエスは眉根を寄せ、怒っているよう。右では十字架の重みに苦しんでいるようにも、達観したようにも見えます。

この絵ではイエスの十字架を囲んで嘆く人々の感情表現もいいのですが、プラデッラ(裾絵)と思われる小さな絵のイエスの表現がなんともいえません。一連の受難の場面でごく控えめながら苦悩や怒りの表情を見せるのです。素朴だけれど味わいのある絵です。

ニースで目にするアートはどれも色鮮やか。海にきらめく陽光が眠っていた色彩感覚を呼び覚ますのでしょう。日本の美術とはちょっと違う感覚の作品は、その土地固有の光から生まれています。

取材協力:
フランス観光開発機構(http://jp.france.fr)
ニース観光会議局 (www.nicetourisme.com)